みなさんお元気ですか?
こんにちはフライングスターの小林です。NASAの火星探査車「バーシビアランス」の送ってきた火星地表面の360度カメラの映像も見たのですが、すごくクリアでびっくりしました。地球から2億3千万㎞。光速でデータ伝送しても13分掛かるという壮大なスケールの中、遠隔操作によってミッションをこなしていくというのは、普段地球上で生活している私たちには想像がつきません。52年前(1969年)にアポロ11号が地球から38万㎞離れた月面の映像を送ってきたときも当時としてはとてもセンセーショナルでしたが、半世紀を経て今の技術はくらべものにならないほど進化していますね。そもそも火星に探査機を送り込むという計画自体の動機は何だったのでしょうか?
おそらくシンプルに「火星をもっと知りたい」という直接的な営利や目的もない(水面下にあるのかもしれませんが)ピュアな好奇心だったと思います。それにしても覚悟を決めて巨額の投資と時間と労力を注ぎ取り組むこと自体がすごいのですが、雲をつかむような目標をクリアするために数々の課題にぶつかり、都度に課題解決のための新たなアプローチ方法や技術革新が生まれ、これらのノウハウを現代社会にフィードバックしていくプロセスはとてもエネルギッシュで経済的ににも大きな価値があることなのではないでしょうか。遂行された関係者は、やり遂げた達成感もさることながら、やりがいもとても感じておられたのではないかと思います。
足元を振り返るとコロナ禍で激変する社会情勢の中で、生きる目的すら失いかけることもあるのですが、シンプルに好奇心をもってチャレンジしてみる思考が、生きる意味や価値を持たせてくれるのかもしれませんね。今回はドローンに搭載されているブラシレスモーターって普通のモーターとどう違うの?って思ったので、触れてみたいと思います。
ブラシレスモーターとは何?
そもそもモーターの動力軸が回るのはなぜかは、中学校で学んだフレミングの左手の法則にあった親指(力の方向)人差し指(磁力の方向)中指(電流の方向)で表した原理を応用し、電流の向きを変えて力の方向を制御し回転運動を生み出しています。ではブラシレスモーターは通常のモーターと何が違うのかという点ですが、ブラシレスという言葉に注目すると、「ブラシが無い」ということ。おもちゃや模型で使われているモーターを分解したことのある方はお察しがつくと思うのですが、モーターの軸の部分に整流子という180度回転するごとに電流の方向を入れ替える接点があって、その部分にブラシといわれる端子が電車のパンタグラフのように接地しています。つまり動力軸が180度回転するたびに軸上のコイルに供給される電流の流れる方向を入れ替えるという作業を機械的に行っているのですが、この整流子とブラシが無いという意味になります。ブラシレスモーターは、この整流子の代わりに、エンコーダとトランジスタを使い電気的に電磁コイルに流れる電流の向きを制御することで、より高性能で壊れにくいモーターになっているという訳です。
ブラシレスモーターの利点
ブラシレスモーターの動力軸には異なる極が隣り合わせになるように永久磁石が4つ配置されているローターと、整流子の代わりに、ホールIC (光学式エンコーダ)が付いており、回転するスリットを通る光を電気信号に変換して制御回路に送っています。ローターの周りにはステーターと呼ばれる3系統の電磁コイルがあってホールICから送られてきた信号に合わせて電流の流れる方向を6個のトランジスタで、30度回転するごとにスイッチング(12回/1回転)するシーケンスを組んで、回転運動に適正になるようにそれぞれのコイルの電流の向きを制御しています。このことで、摩耗するブラシが必要なく信頼性、耐久性が高いという訳です。ほかにも動力軸側のローターに永久磁石を使ったことで、電磁コイルを使用していたものに比べて薄くでき、ハイパワー(1.3倍)になっているのと、電力の2次損失を抑え省電力化も行っています。しかもインバーターによる制御(低速時にトルクが薄くなる)に比較して低速から高速まで安定した回転とトルクが得られるというメリットがあります。値段は高くなるのですが、複数のプロペラを操り機体を制御するドローンにとって、持ってこいのモーターなのです。